翠緑のエクリ

神奈川県在中。主な関心は哲学、倫理です。

社会科学

【書評】アメリカの反知性主義/リチャード・ホーフスタッター

インテリゲンツィア、知識人 知的であることを人間的な財産として捉える人はどれくらいいるだろうか。あるいは逆に、「知性的でない」ことをプラスのイメージで捉える人はどれくらいいるだろうか。日本では知的な人間のことを指して「インテリ」と呼ぶことが…

【書評】カント「啓蒙とは何か」-哲学と啓蒙は私たちを魅了する

「啓蒙とは、人間が自分の未成年状態から抜け出すことである。…未成年とは、他人の指導が無ければ自分自身の悟性を使用し得ない状態である。ところでかかる未成年状態にとどまっているのは彼自身に責めがある。というのは、この状態にある原因は、悟性が欠け…

【感想】フランク・パヴロフ「茶色の朝」

「なんにしても、シャルリーは俺が猫を処分した時と同じく、なにごともなかったかの様に話していた。きっとかれは正しいのだろう。あまり感傷的になっても仕方がないし、犬は茶色がいちばん丈夫というのはたぶん本当なんだろう。」(フランク・パヴロフ、「茶…

【書評】制度でも衰退でもない経済の未来(2/2)―「経済成長という呪い」ダニエル・コーエン

(人類史と経済成長 前半へ) 「自主的」であれという「命令」 ポストフォーディズムの労働者 しかしながら、ポストフォーディズム体制では、労働者や工場は国境を越え、反復作業は機械に任されることになります。 企業はかつて、労働者の福利と厚生を図ること…

【書評】成長でも衰退でもない経済の未来(1/2)―「経済成長という呪い」ダニエル・コーエン

はじめに 今回ご紹介するのは、ダニエル・コーエンの「経済成長という呪い」(※1)です。21世紀の資本主義社会が直面している、資源の有限性に伴う経済成長の停滞と、飽くなき成長を求める人間の欲求という矛盾を主要なテーマとした良著です。 長くなってしま…

【感想】持てるものが持たざる者を助ける―日本の税金(第3版)

仕事の勉強用に…と買ったものの、予想以上に面白かった本。 複雑な日本の税制度 日本の消費税は、1989年の竹下内閣によって導入されて以降増税を続けています。2018年10月15日の臨時閣議では、次年度以降の消費税を10%に上げる方針が表明されました。 主な…

【書評】生きづらさを語る作法とはー「コミュ障」の社会学

「友達幻想ーー人と人との繋がりを考える」という新書の発行部数が、30万部を超えた、そんなニュースがあります。 風の便り : 友だち幻想が売れている 2008年発売の新書が、発売から10年たって流行るという時代背景には、いったい何があるのでしょうか。SNS…